【コミカライズ化!7月28日配信!】5時からヒロイン











一般の家庭に生まれて良かったと思ってしまった。社長は生まれた時から経営者になるように育てられてきたのだろう。持ち合わせている威厳も何もかも、直ぐに身に付けたわけじゃなく、そういう環境に育ったからなのだ。
いきなりそんな環境に能天気な私が入っていっても、馴染めないだろうと思う。だけど、会長の奥様はファイブスターの社員で秘書だった。どんな覚悟を持って結婚したのだろう。

「まあ、俺の母親は例外だけどな」
「例外?」
「のんびり、おっとりとした母親だよ」

社長がお母さまを紹介して下さるかどうかは、今の段階では不明。まだ付き合いだしたばかりだし、それに結婚対象としても不明。結婚を意識するには早すぎだし、私はいつでも社長と別れる覚悟をもって付き合っている。
悲しいことだけど、それが現実だ。
そのときになったら分からないけど、振り乱したりしない ようにしなくちゃと、心に決めている。
こんなに幸せな時間を一緒に過ごしているのに、頭の中は不安な事しか浮かばない。この癖を直さないと、本当に幸せな思い出は作れない。

「どうかしたのか?」
「え?」
「考えごとをしているようだ」
「……少し酔ってしまったかもしれません」

泡となって消えてしまいそうな恋愛だと、いつから感じ始めたのだろう。話しをして行く中で、お互いの理解は深まるけど同時に、私とはやっぱり世界が違う人なんだと、思い知らされることが多くなった。
ただ好きで、想いを寄せている時が一番幸せだったかも。少し手が触れただけでも胸が高鳴って、心配されれば涙が出そうになるほど嬉しくて。
今は、もっと、もっと、と要求が出てきて満足できなくなっている。
社長がそっと肩を引き寄せ、おでこにキスを落とす。
そんな瞬間も大好き。
久し振りのお酒で、身体にアルコールが回って、私は少し大胆になる。

「そんなキスじゃいや……」

社長の蝶ネクタイに指をかけて、引き寄せる。間近にある、見とれてしまうほどの美麗な顔。

「その甘い声をもっと聞かせろ」

大嫌いだったこの声だけど、この声に産んでくれてありがとう、と母親に感謝する。
社長のくれるキスは極上の一品。私の唇が離れたくないと言っている。

「いい声が聞こえないな」
「キスじゃ出ないの」

自分でも恥ずかしくなるくらい、キザな言葉が次から次へと出てくるのはきっと、社長がキザだからだ。
私を抱き上げ寝室へ向かうと、ベッドにそっと降ろされる。
なんていいお顔。真上にこの顔があるなんて、いまだに信じられないでいる。
タキシードシャツの間から見える肌が、なんとも艶めかしい。
男の顔、私を欲しがる顔、全部私の物。

「今日は欲しがるな」
「酔ってるせいかしら?」
「なら、毎日でも飲ませようか」
「ふふ……」

こうして抱かれている時だけは、不安がなくなる。私に夢中で求められているから。
もやもやしていたのが嘘のように、頭の中は社長でいっぱい。何も考えられないように、抱いてくれればそれでいい。