「すんなり帰れるのね」
パーティー会場であるホテルを出ると連絡が入る。私が待っているから、社長は取り巻きをうまくかわしたのだろう。
「私も着替えをしなくちゃ」
プレゼントされたあの黒のワンピース。一度切りなんてもったいなくて、どこかで着るチャンスはないかと思っていた。社長がパーティーの愚痴を言ったときに思いついたことで、いつも癒してもらっている私ができるお返しだ。
「少しは癒しになるかな?」
何もしてあげられていないと感じていたから、喜んでもらえるといい。
社長の家にある私専用のクローゼットから、ワンピースを出して着る。デートの時と違ってヘアはブローをしただけだけど、念入りにブローしたから本当に綺麗になった。いつもまとめ髪だからブローはおざなりにしていたけど、これからはちゃんとしよう。
「やっぱりかわいい」
ワンピースは二度目の着用だけど、本当にかわいくて、バービー人形といってもいい。
「自画自賛」
鏡の前でふざけていると、ベルが鳴った。
「社長だ!」
急いでインターフォンで対応して、ドアを解除する。
玄関でいそいそとしながら待っていると、またベルが鳴った。
「は~い」
重厚なドアを開けると、そこには私の男がタキシードを着て待っていた。
「おかえりなさい」
なんだか久し振りに会うような気がして、抱きつく。
「ただいま」
「開けて入ってくるかと思いました」
「鍵は沙耶に渡してしまっただろう?」
「あ、そうでした」
玄関に入るそうそう、お帰りとお疲れ様のキスをする。
「どうした? その服」
「ふふ……」
含み笑いをして社長の手を引く。不思議そうな顔をしながらも、私に手を引かれてリビングに入る。
「ジャジャーン!」
「どうしたんだ?」
「パーティーは緊張もしているだろうし、お酒も味わえなかったんじゃないかと思って、私からの労いです」
「豪華だな、うれしいよ」
「デパ地下製品ですが」
「わかってる」
料理が出来ないことは既に社長も知っているから、隠すこともない。社長は満面の笑みでテーブルを見た。
「ローストビーフもあるんだな」
「ええ、大好きですから。寝言を言うくらいに」
「嘘じゃない、本当に言ったんだぞ?」
「分かってますぅ」
ワインの栓を抜いて、グラスに注ぐ。
「お疲れさまでした」
「お疲れ」
乾杯をして同時にグラスに口を付けると、社長は私の腰を引き寄せた。
嬉しいけど、突然で目をぱちくりした私にキスをする。
「……ん」
社長から私へワインが注がれる。口移しなんて初めての経験だけど、すんなりと出来る社長はやり手とみた。
「今日もきれいだ」
「社長もすてきです」
もう一度熱いキスを交わして、二人でソファに座る。キャンドルの灯りが瞳に反映されて、社長がますます素敵に写る。
見つめ合いながらゆったりとした時間が過ぎてゆく。忙しすぎる私達にとって、ゆっくりできる時間が取れるなんて、贅沢なことなのだ。
食べさせあいっこをしている、社長のこんな姿を社員が見たら、固まってしまうに違いない。
「このサプライズのためにこれを?」
ドレスアップした私を、まじまじと見る。
「だって一度しか着ないなんて、もったいないじゃないですか」
「嬉しいサプライズだ」
「疲れも飛びました?」
「ああ、吹き飛んだよ」
「パーティーはいかがでした?」
「ご婦人方が相変わらず強くて、強烈だったよ」
「可哀そう……」
「まあ、経営者の妻はそのくらいじゃないと、やってはいけない部分もあるからな」
「そうなんですか?」
「いつ何時、何があっても動じない強さが必要だ。経営者があたふたしていたら、社員はどうなる? 弱みを見せないことが重要だ」
パーティー会場であるホテルを出ると連絡が入る。私が待っているから、社長は取り巻きをうまくかわしたのだろう。
「私も着替えをしなくちゃ」
プレゼントされたあの黒のワンピース。一度切りなんてもったいなくて、どこかで着るチャンスはないかと思っていた。社長がパーティーの愚痴を言ったときに思いついたことで、いつも癒してもらっている私ができるお返しだ。
「少しは癒しになるかな?」
何もしてあげられていないと感じていたから、喜んでもらえるといい。
社長の家にある私専用のクローゼットから、ワンピースを出して着る。デートの時と違ってヘアはブローをしただけだけど、念入りにブローしたから本当に綺麗になった。いつもまとめ髪だからブローはおざなりにしていたけど、これからはちゃんとしよう。
「やっぱりかわいい」
ワンピースは二度目の着用だけど、本当にかわいくて、バービー人形といってもいい。
「自画自賛」
鏡の前でふざけていると、ベルが鳴った。
「社長だ!」
急いでインターフォンで対応して、ドアを解除する。
玄関でいそいそとしながら待っていると、またベルが鳴った。
「は~い」
重厚なドアを開けると、そこには私の男がタキシードを着て待っていた。
「おかえりなさい」
なんだか久し振りに会うような気がして、抱きつく。
「ただいま」
「開けて入ってくるかと思いました」
「鍵は沙耶に渡してしまっただろう?」
「あ、そうでした」
玄関に入るそうそう、お帰りとお疲れ様のキスをする。
「どうした? その服」
「ふふ……」
含み笑いをして社長の手を引く。不思議そうな顔をしながらも、私に手を引かれてリビングに入る。
「ジャジャーン!」
「どうしたんだ?」
「パーティーは緊張もしているだろうし、お酒も味わえなかったんじゃないかと思って、私からの労いです」
「豪華だな、うれしいよ」
「デパ地下製品ですが」
「わかってる」
料理が出来ないことは既に社長も知っているから、隠すこともない。社長は満面の笑みでテーブルを見た。
「ローストビーフもあるんだな」
「ええ、大好きですから。寝言を言うくらいに」
「嘘じゃない、本当に言ったんだぞ?」
「分かってますぅ」
ワインの栓を抜いて、グラスに注ぐ。
「お疲れさまでした」
「お疲れ」
乾杯をして同時にグラスに口を付けると、社長は私の腰を引き寄せた。
嬉しいけど、突然で目をぱちくりした私にキスをする。
「……ん」
社長から私へワインが注がれる。口移しなんて初めての経験だけど、すんなりと出来る社長はやり手とみた。
「今日もきれいだ」
「社長もすてきです」
もう一度熱いキスを交わして、二人でソファに座る。キャンドルの灯りが瞳に反映されて、社長がますます素敵に写る。
見つめ合いながらゆったりとした時間が過ぎてゆく。忙しすぎる私達にとって、ゆっくりできる時間が取れるなんて、贅沢なことなのだ。
食べさせあいっこをしている、社長のこんな姿を社員が見たら、固まってしまうに違いない。
「このサプライズのためにこれを?」
ドレスアップした私を、まじまじと見る。
「だって一度しか着ないなんて、もったいないじゃないですか」
「嬉しいサプライズだ」
「疲れも飛びました?」
「ああ、吹き飛んだよ」
「パーティーはいかがでした?」
「ご婦人方が相変わらず強くて、強烈だったよ」
「可哀そう……」
「まあ、経営者の妻はそのくらいじゃないと、やってはいけない部分もあるからな」
「そうなんですか?」
「いつ何時、何があっても動じない強さが必要だ。経営者があたふたしていたら、社員はどうなる? 弱みを見せないことが重要だ」



