【あかねいろ】 Endless_eternal_Lovers(短編集①)

【由美姉】
「私たちには、あの子が来てくれたこと自体がそれはもう、うれしくてね。
一人娘が里帰りしたみたいに思えてねぇ、わたしらは感極まってしまってね、しばらくそっとそのままにしてあげて、ふつうに静かな時を過ごしたんだよ」

老婆は、そうしみじみいうと、空になった達也のカップにコーヒーを入れた。

「それからしばらくたってね、すこし落ち着いたのか、そっと帽子をとってねぇ、大好きな紅茶をゆっくり口元に運んだのさ。あの子の綺麗な長い髪が、夕日に輝いていてねぇ。
わしらは少し大人になって見えたかな。あの子の後ろ姿をそっと、静かに見守るように見つめててね。」

達也は、注がれたコーヒーをゆっくりと口元に運んだ。

「しばらくした時だった。"この薫り…………だったんだね、あーちゃん"。そういうと、こちらにゆっくり振り向いてね。わたしらにこういったんだよ」

「妹の麻美がその節は大変お世話になったと聞き、こちらにお伺いさせていただきました。
申し遅れました。麻美の姉の由美です。」

「とね。そりゃ〜たまげたよ。いままでまったく気づかないぐらい、うしろ姿、面持ちがそっくりでね。
そもそも彼女恰好自体が、”いつも”と同じだったから」

幾分興奮したマスター。それを見て、落ち着かせるがために、老婆がマスターにコーヒーを差し出した。
「……でも……、どうして由美姉が……」