【8月3日】
「あの子はね、毎年なぜか必ず、8月3日の夕暮れ時に現れてね、決まって青いワンピースとむぎわら帽子で、 おまえさんの今いる向かいの席にすわってたんだよ。なんでだかね?」
目を細めながら、やさしく達也に意味深に話すマスター。
老婆が写真をみつめながら続ける。
「ずっと無言だったのよ、あの子はね。その写真のように、どこか哀しい瞳で、この窓の外をひたすらずっと見つめてね。行き交う人の流れをみては、入口の鐘が鳴るたびに、ハッ、と振り向いてね。」
達也は、写真の彼女ではなく、老婆達が話す麻美の残像を、”向かい”の席に思い浮かべていた。
「そうそう、去年の8月3日だや?、初めてわたしらにあの子が話しかけてきてね」
写真の麻美に微笑みながら、老婆は話す。
「おまえさんが きたかどうか……尋ねて……きてね」
老婆はそれ以上、言葉にならなかった。
「きてないことを伝えるとね、女房にこれを渡してきてね、おまえさんが来たらどうか渡してほしいとね……」
そういうと、マスターはそっと達也の前に一通の手紙を差し出した。宛ては、そう、紛れも無く達也宛てであった。
「あの子はね、毎年なぜか必ず、8月3日の夕暮れ時に現れてね、決まって青いワンピースとむぎわら帽子で、 おまえさんの今いる向かいの席にすわってたんだよ。なんでだかね?」
目を細めながら、やさしく達也に意味深に話すマスター。
老婆が写真をみつめながら続ける。
「ずっと無言だったのよ、あの子はね。その写真のように、どこか哀しい瞳で、この窓の外をひたすらずっと見つめてね。行き交う人の流れをみては、入口の鐘が鳴るたびに、ハッ、と振り向いてね。」
達也は、写真の彼女ではなく、老婆達が話す麻美の残像を、”向かい”の席に思い浮かべていた。
「そうそう、去年の8月3日だや?、初めてわたしらにあの子が話しかけてきてね」
写真の麻美に微笑みながら、老婆は話す。
「おまえさんが きたかどうか……尋ねて……きてね」
老婆はそれ以上、言葉にならなかった。
「きてないことを伝えるとね、女房にこれを渡してきてね、おまえさんが来たらどうか渡してほしいとね……」
そういうと、マスターはそっと達也の前に一通の手紙を差し出した。宛ては、そう、紛れも無く達也宛てであった。


