【あかねいろ】 Endless_eternal_Lovers(短編集①)

【DEPARTURE】
静かに続く、打ち寄せては消えていく波の音。
それにシンクロするように、一歩ずつ、達也は
麻美の墓に近づいていった。

歩きながら、達也には、
やっと明らかになったことがあった。

「”三っ目”の願い………」

そう…それは、由美姉があえて伝えなかった事……、 麻美が生前、由美姉に”最期の願い”として伝えた、この街に
”居たい”
と言うことだった。

達也は麻美の墓に、住職から頂いた線香を焚き、 ゆっくりと麻美の手を取り包むように、手を併せた。

「麻美……、待たせたね……ありがとう……ごめんね…」

それ以上、言葉にできはしなかった。

「たっちゃん……、ありがとう」

「……えっ?、麻美?」

それは、聞こえるはずもない、麻美の声が心に響いたものだった。

それを聞いた達也は、すぐに老夫婦から渡された麻美の”手紙”の封を解いた。

書き出しは………
こうだった。

「たっちゃん……
 ありがとう……」

やはりそれは、やっと読めるほどの波打った、精一杯書いた………………

麻美の”生きた証”であった。

やっと……、達也と麻美は、ようやっと今、逢えたのだった。
あの日のまま、そう、何も変わることのないあの時のまま。

今でも達也の心の中で優しく笑う麻美に、そして一途にただ、麻美を想う 達也に……。

手紙はほとんど、読み取れないといってもいいほど、力無き筆跡で綴ってあった。

ただ、末文だけ力強く……こう”記されていた”。

「たっちゃん、本当に今までありがとう。
たっちゃん、幸せになってね。
幸せにならなきゃ、私ははいつまでも、待たなきゃならないんだからね………。
もう、待たせたらだめよ……」