私は貴方と出逢うまで、己が金魚なのではないかと錯覚することがありました。
透明な鉢に入れられ、自由に泳ぐこともままならず、ただ水の中でこのまま一生を過ごすのだと、信じて疑いませんでした。


何故なら、透明な鉢は私のような小娘ひとりが生きていくには十分過ぎる程で、何一つ障害はなかったからです。
お父様やお母様が気に入る方と一緒になり、同じ鉢に入ったとしても、水が溢れてしまうことはきっとないでしょう。