その夜、円山家の2階のダイニングテーブルで食後のお茶を飲んでいる時に父は紬に不良少年のことについて聞いた。
父「紬、今日買い出しの後一緒に入って来た男は誰なんだ?」
紬は目線を両手の中にある湯呑みに落とすと言った。
紬「あの人は、別に誰でもない··今日私が困ってる時に助けてくれたの」
父「困ってる時って何だ?」
紬「それは··その、」
母は紬を心配そうな顔で見つめると言った。
母「紬、ちゃんと分かるように説明して?お父さんもお母さんもあなたのことが心配なの··」

紬「分かってる··実はね、買い出しの帰り道にヤクザの男の人とぶつかって、相手を怒らせてしまって、どうしようって思った時に彼が助けてくれたのよ?ウチのハヤシライスも凄く気に入ってくれて」
そこまで言うと、父が紬の言葉を遮って言った。
父「何だって?!ヤクザ?!」
母「えっ?!」
紬「違う!!彼はヤクザじゃなくて私を助けてくれた高校生よ!」
父「いいや、そんなことどうでもいい!とにかくもうあんな怪しい男とは関わるな!」
紬「でも!」
母「紬!お父さんの言う通りよ··あんな傷だらけの男の人と関わったらろくなことないわ」
紬「見た目が不良だからって真実は分からないじゃない!本当に悪い人だったら私を助けてなんかくれないわ!!」