祖母は話します。 この女が私の息子を殺したのだと。 このマンションから突き落とし殺した殺人犯だと。 私はなにも言えませんでした。 そして祖母は続けます。 「私はあいつを許さない」 私は逃げるように家を出てその子に誰にも言わないでと言い、重い足取りで家に帰りました。 私は母にそのことを話しませんでした。 兄にも話しませんでした。 なにも考えず、何となくそうしたのです。