「フィオナ、ありがとう。私が彼を一課の人間に引き渡そう。フィオナはここで乗客たちが無事かどうか確認してほしい」

シオンに見つめられ、フィオナは「わかりました」と頷く。このバスを出たらエヴァンたちに話を聞きに行けていないことを報告しなければ、そう思いながらフィオナは乗客たちに声をかけて回った。

「さあ、行くぞ」

シオンがエドワードの体を支えるように腕を回し、ゆっくりとドアへと歩いて行く。運転手がドアを開け、シオンはステップに足を乗せてバスを降りようとしていた。刹那。

何かが目で追いつけないスピードで飛んでくる。そして、飛んできたものはシオンの肩を撃ち抜いた。辺りに飛び散る血、そして乗客たちの悲鳴で、フィオナは狙撃されたのだと一瞬で理解する。

「あ……ああっ……」

肩から血を流すシオンを見てエドワードは腰を抜かし、その場に座り込む。シオンは手すりを握り締め、傷口に手を当てていた。その顔は苦痛で歪んでいる。

「シオンさん!」

フィオナは慌ててシオンに駆け寄り、止血をしようと自身の着ているスカートに手をかける。しかし、もう一度銃弾が飛んできてシオンを撃ち抜く。今度は肺の部分を撃たれ、さらに出血が増していった。

「くっ……ううっ……」

シオンが痛がり、フィオナは「シオンさん、しっかり!誰か救急車を!」と叫ぶ。そして必死で傷口を手で塞ぐも、シオンの体から血はどんどん失われていった。