シオンの言葉にエドワードは目を泳がせる。顔色はさらに悪くなり、体は小刻みに震えていた。そんな彼に、シオンは一歩、また一歩と近付いていく。

「あなたの愛する人は、優しい人だったんだろう?」

「……ああ。みんなから慕われる学校の教師で、優しくしてくれたことがきっかけで好きになったんだ」

「よく考えろ。こんなことを愛する人が望むか?犯罪に手を染めた自分を見てくれると思うか?」

「……でも……俺は……俺は……」

エドワードは涙をこぼし、俯く。そんな彼をシオンは抱き締めた。まるで間違った我が子を叱り、叱り終わった後に見せる優しさのようにフィオナには映る。

「あなたはまだ生きている。何度でもやり直せる」

「……ッ!」

ゴトリ、と音を立てて拳銃が床に転がり落ちる。それはこの事件が終わることを告げていた。

「シオンさん、捜査一課の方々があちらで様子を伺っています」

一部始終を見届けたフィオナは、窓ガラスの向こうに捜査一課の刑事の車を発見し、シオンに報告する。シオンは泣きじゃくるエドワードを抱き締めたまま、微笑んでいた。