Tear Flowers〜奪われた未来〜

彼女との生活はとても幸せなものだった。一緒に食事を作り、仕事が休みの日にはどこかへ出かけ、朝も昼も夜も一緒にいることが当たり前だった。でも、結婚してたったの五年でその幸せは壊される。

その日は連続強盗殺人犯の捜査をするため、徹夜をして帰ってきたところだった。眠い目を擦りながら家へと帰る。ヴァイオレットが出迎えてくれると胸を弾ませて玄関を開ければ、異常な光景が広がっていた。

玄関が荒らされて散らかっている。そして、壁に血痕が飛び散っていた。廊下にも血が落ちている。

「ヴァイオレット……?」

嫌な予感がし、私はリビングへと走る。そして、ドアを開けた瞬間に目の前の出来事が嘘であってほしいと願った。

愛しい人は、物色されて散らかったリビングで鋭利な刃物で何十カ所も刺されて息耐えていた。そして私は、見つけたいものや人の居場所を見る力を手に入れた。



シオンの告白にバスの中は静まり返る。フィオナでさえ、予想していなかったシオンの過去に体が震えた。彼女も大切な人を失っていたのだ。

「ヴァイオレットを殺したのは、私が当時追っていた連続強盗殺人犯だった。私が奴を見つけて逮捕した。……あなたの気持ちはよくわかる」