Tear Flowers〜奪われた未来〜

愛してる、そう初めて口にした時の感動は、きっと生涯忘れることはない。どんな試験より緊張して、それでも目の前で大切な人が微笑んでくれてさらに愛しくなるから……。

「私も、あなたを愛しています」

ヴァイオレットもそう言ってくれて、私は人生で初めて人とお付き合いをするという経験をした。この国は同性愛に対する理解は少ない。だからこの関係は二人だけの秘密だったが、幸せだった。

春はお弁当を二人で作ってお花見を、夏は夏祭りで屋台や花火を楽しみ、秋は紅葉、冬は雪を、愛しい人の隣で感じられて幸せだった。でも、秘密はいつかバレる。

「何を考えているんだ!アカツキ家の人間が同性愛者など、世間の恥だ!!」

ある日、仕事から帰ると父に呼び出されてそう言われた。二人で密会しているところを見られたのだろう。私はグッと唇を噛む。

「こんなの、あなたらしくないわ。この際お見合いでもしましょう」

母がそう言い、父も賛成してすぐに連絡を取ろうとする。私は過去のことを色々と思い出し、父の手を掴んだ。