Tear Flowers〜奪われた未来〜

裏路地から女性の声が聞こえ、私の足が止まる。裏路地は犯罪が起こりやすい場所だ。警察官として見に行かないわけにはいかない。

「何をしている？」

私が近付くと、二人組の男が一人の女性を襲おうとしている最中だった。私が近付くと、男二人はニヤニヤと笑う。

「おっ、こっちのお姉ちゃんも綺麗じゃねえか。俺、こっちにするわ」

ニヤニヤしながら一人の男が私の手を掴む。強い力で握られ、思わず顔を顰めた。普通の女性ならば、手を振り払って逃げることは難しいだろう。だが、私はか弱くはない。

「……暴行未遂で逮捕する」

私は冷たく言い放ち、男がその言葉の意味を処理しているうちに綺麗な背負い投げを決めた。受け身を取れなかった男は痛みから悲鳴を上げ、女性を襲おうとしている男は「テメェ！」と殴りかかってくる。その拳を受け止め、腹を膝で思い切り殴ると男は情けなくその場に掠れてしまう。

「大丈夫ですかーーー」

震える女性に駆け寄った刹那、私の心臓が初めて感じる鼓動を奏でる。金髪のロングヘアーを編み込み、青い瞳をした美しい異国の女性に、私は同じ女だというのに見惚れてしまっていた。