Tear Flowers〜奪われた未来〜

シオンは瞳を潤ませ、エドワードを見つめる。シオンの頭の中には、最初で最後に愛した人との思い出があった。



東洋の島国に私は生まれた。一般家庭ではない。先祖代々警察官の名家だ。

アカツキ家に生まれたからには、将来の夢は必ず警察官だと決められる。そのために必要な格闘技、勉学、礼儀作法を幼い頃から厳しく叩き込まれた。

「シオンは立派な警察官になるだろう。一緒に捜査をする日が楽しみだ」

「立派な警察官と結婚して、強い女になっていくのよ」

両親、祖父母、親戚、周りの大人から言われることはいつも決まっていた。警察官になって活躍し、同じ優秀な警察官と結婚して子どもを産み、アカツキ家を繁栄させるーーーそう決まっていたからか、私の心はあってないようなものだった。

機械のように勉強や格闘技を覚えていれば、両親たちは褒めてくれる。褒められて嬉しいという気持ちはなく、警察官にならなくてはいけないという気持ちだけで生きていた。