夜空のある場所に、小さなお星様と並ぶように、もう一つお星様がありました。

『あなたは私よりも少しだけ大きいのね…!』

小さなお星様はそのお星様に話しかけます。
そのお星様は、昔を思い出すように優しく話し出しました。

『小さな星さん、昔はもっと小さかったのです。それに、はるか昔、私が海にいた頃は、私は知らなかったのです、こんな世界がある事を……』



………

小さなヒトデは、自分のいた近くの海のことしか知りませんでした。

海の中で追い追われ、貝類や命尽きた魚を食べて暮らし、海の中だけで生きていたヒトデ……

「海は広い。これ以上の場所があるだろうか?他で暮らすなんて、考えたこともない。」


ある日、巨大な魚たちの起こした渦や波に巻き込まれ、ヒトデは乾いた海辺に打ち上げられてしまいました。

「…ああ、体が乾く……」

海でしか生きられないヒトデは、全く水のない砂の上では動けなかったのです。

「…自分はこのまま死んでしまうのか…?海で生きていた自分が、こんな知らない世界で……」

水に濡れていた体はゆっくりと乾いていきました。

その時、ヒトデは生まれて初めて、夜空にきらめく星たちを見ました。

「…なんだろう、あの上に光るものは…?」

海の中にまでもあたたかい光を注いでくれる太陽は、今は静かで穏やかな暗闇を呼んでくれる月に代わっています。その月のそばにはたくさんの星が輝いていました。
海の中からは見たことがない、小さな星たち。

小さなヒトデは、海の外の世界を全く知らなかったのです。

ヒトデはすぐに心を奪われました。

「…なんて…美しいんだろう…自分も…空へ…昇れたら…あんな…ふうに……」

月明かりに照らされながら、ヒトデの命は永遠の眠りにつきました。