“これは…魔力が宿せる石だ。良く見つけたね…!”

ご主人様はそう言って頭をなでてくれ、その石をずっと持っていてくれた。

私はその石にヤキモチを焼いた。

“私も、その石だったらずっとご主人様といられたのに…”

あんなキレイな石…。私なんか、真っ黒なのに…。
優しいご主人様は、私をかわいいと言ってくれた。でも私を、不吉だ、怖い、他の人間たちはみんなそう言っていた…。

猫だったばかりに、連れていかれたご主人様に付いていけなかった…。黒かったばかりに気味悪がられて人間に近づいてもらえなかった。
おまけにご主人様も見つけられない…こんなにボロボロになっても…役立たずの私…

「私が石だったら…この石みたいにキレイな石だったら……」

石は魔力のおかげなのか、ご主人様の手のように温かい。

空にはキレイなお星様と、真ん丸なお月様がいた。森の奥でも見えたお星様とお月様。不思議な力を持っている、って、ご主人様が言っていた。

「誰か……お月様…お星様…ご主人様に会わせて…!!会いたいの…!!一緒に…また一緒にいたいの…!!」

照らされたお月様とお星様の灯り。広場に置いたその石はキラキラ輝く。

スッ…と、輝くキレイな光が石に吸い込まれていく。
私は何かが吸い込まれていったその石をジッと見つめた。

それが、私の最期だった。



ある朝、一人のボロを着た少年が、朝日に照らされた何かを、広場の隅で見つけた。

「黒い…石…?」

手に取るとほんのり温かく、キラキラと中に光が見えた。

「夜に光る猫の目みたいだ…キレイだな……。アイツにやろう、病気が良くなるようにお守り代わりに…」


強い想いはきっと叶う…そうでしょう?ご主人様…