白衣と弁当

やっぱり父の言うとおり、研究以外は興味がないんだろうか。



それからも私は神長さんにお弁当を差し入れ続けた。
おいしい、ただその一言が聞きたくて。

父は毎回、親バカがすぎるほど大絶賛だが、神長さんは相変わらず、疑問形で受け取るだけ。
ただ、父はいつも空のお弁当箱をふたつ下げて帰るから、完食してくれてるんだと思う。

神長さんにおいしいって言われたい。
……神長さんに少しくらい、私のことを意識してほしい。



「こんにちはー」

その日も、神長さんにお弁当を作っていった。
けれど。

「あー……」

振り返った神長さんが握っている箸、その前のお弁当。
いかにも、女の子の作った。

「あっ、えっと、その。
……いままで、迷惑でしたよね。
その、知らなくて。
ごめんなさい」

出てくるな涙、これは私が勝手にやってたことじゃないか。
別に、神長さんは悪くない。

「こ、これ。
父に渡してください。
じゃ、じゃあ」

神長さんに父のお弁当を押しつけると、その場を逃げ出した。

……お弁当、作ってくれるような彼女いたんだ。
いつも迷惑してたんだ。
だから。