文句をたれてる高橋くんをよそに、さっき遠くにいたはずの西野くんがこちらに寄ってきて高橋くんの腕を掴む。



こんなに近く西野くんを見るのはあの日以来で心臓のドキドキが止まらない。



「いや、今清家さんと話してたんだけど」



そういう高橋くんの声が聞こえたと思ったら、私の耳に衝撃的な言葉が聞こえた。



「ごめんね、『清家さん』
ちょっとこいつ借ります」



何か言葉を返そうと思った時にはもう2人はいなくて、もう一度西野くんの言葉を頭の中でループさせる。



清家さん……


私の名前知ってた???


だとしたらすごく嬉しい!



と思ったけど直前に高橋くんが『清家さん』と呼んでいたことを思い出す。



なんだ、そりゃそうだよね。



西野くんが私の名前知ってるなんてないない



そう思いながらもなぜか期待で高まる胸は抑えられなかった。