「俺の好きな人、聞きたい?」
って、慎先輩は言ったんだ。
 私は不思議だった。
だって、誰にも言わなかった好きな人のことを、教えようとしているのだから。
「聞きたい…です…」
私はそう言うしかなかった。
私から聞いたんだから。
「そう。じゃ、教える。俺の好きな人はね、…かな」
「ちょっと、慎君!何で告ってきてもない、桜南歌っていう他人に教えようとしてるの!?」
 慎先輩が好きな人を教えようとした時、慎先輩に告って振られた集団がいた。
その人たちは、「告った私達が好きな人を聞いても教えてくれないのに、なぜ告ってもない後輩に好きな人を教えようとするのか」というのを疑問に思っているらしい。