「やろうぜ、ちび」

「そうだよ、もう毎日来てるんだから、
振りは入ってるでしょ」

タツキとアヤノにまた誘ってもらえた。
最後にみゆきさんも言った

「私の挑戦、受けて立ってよ。
ダサイダンスしたら、もう明日から来るな」

挑戦か。

私達の話を聞いていたメンバー達が
歓声を上げて盛り上がる。

拍手と口笛、掛け声で盛り上げられ、
これはどうにも踊らない選択肢はない

みゆきさんの挑戦だ

また逃げるの?って挑戦だ。

分かった。

受けて立つ。

私にはどんな私も認めてくれる友達がいる。

好きなものは好きと言って、
自分を大切にしたいから。

これからは私の為に、
私が笑顔になれる事をしようって、
決めたんだった。

イントロが流れ静かに目を閉じた。

振りは何度も見てる。

きっと体が勝手に動くはず。
思った通りで自然に曲に体が乗る。

あーこの感じ本当に久しぶり。

指先まで音が響き渡る。

風になる。空気になる。

いつの間にか歓声と拍手と、
ヤジがなくなり静かになる。

私は無になり思いを全て昇天させた。

曲が終わり久しぶりのダンスに、
息を切らせバテる私の周囲はシーンとしていた。

我に返って余りの静寂に不安になる。
一呼吸おいてみゆきさんが、

私の背中をバシッとたたいた。

「噂通りだな!ナナミ!一緒におどろう。
キツイ事を言ってごめん。
ちょっと勘違いしてたのもあるんだけど、
ナナミのイジイジした態度に、
イラッと来ちゃって。ごめん」

みゆきさん!

こちらこそ私にチャンスをくれて感謝してる。

そう言う私の肩に手を回し、

「ミッキーでいいよ。
私もちびって呼ばせてもらうから」

いや、待って。

ちびってあだ名は小学生の頃のだし、
今はちびじゃないし。

「十分ちびだろ。よろしく、ちび!」

同級生のトモと握手を交わす。

アヤノとタツキともハイタッチをした。

「ナナミ、やっぱ最高!」

「ちび、お前、本当にダンスは久々なの?
だとしたら体に染み付いてるんだな。
スゲェな、お前!」

ダンス、楽しい!

1度殻を破ると、あとはもう夢中だった。

チームのメンバーにしてもらい、
夕方まで食べるのも忘れ踊り続けた。

勇磨!

私にも夢中になれるもの、あったよ!