泣いて泣いてドン底まで落ちた。

世界の終わりだ。

そう思った。

泣いても泣いても、
ツバサくんへの想いは消えなかった。

おしまいにしたけど、
でも心の中までは終わりにできない。

でも罪悪感からは解放された。

朝が来てお腹空いて、
ご飯を食べる事もできた。

大丈夫、世界はまだ続いてる。

学校への長い坂道で目指す相手を探す。
その背中を見つけ駆け寄った。

「木村くん、おはよう」

そう声をかけた。
眠そうに目をこする木村くんは、
同じ中学出身でツバサくんの親友だ。

「昨日、ツバサから電話あったぞ。
木下の様子がおかしいけど、
学校で何かあったのか?って」

また泣きそうになり、
慌ててカバンからジャージを取り出した。

木村くんに押し付けて
「なんか、ツバサくん、面倒臭くてさ。
ちょっと距離おこうと思って。
だから、これ木村くんからツバサくんに返しといて」

それだけ言って走った。
背中に木村くんの声がする

「ツバサに連絡してやれよ」

瞬間、誰かにぶつかった。

「すみません」

そう言って顔を上げると勇磨だった。

勇磨は鋭い視線で私を見た。

「やっぱり昨日もツバサに会ったんだな。
必死だな」

心を見透かされそうになる。
また罪悪感が襲う。

「勇磨には関係ないでしょ。
必死で何が悪いの?
汚い手を使ったり騙して何が悪いの?
もう、ほっといて」

勇磨の視線は冷たく鋭さを増した。

「あー、関係ないな。
俺はナナを見損なった。
お前みたいな最低な女、
どうあがいても誰にも届かない」

知ってるよ、届かないのも。

知ってる、サイテーなのも。

でも、どうしても欲しかったんだもん、
仕方ないじゃん、そんなに強くないよ。

なんだよ、バカ勇磨。

勇磨の言う通りだったって、
もうツバサくんと会わないって、
言おうと思ってたのに。

だけど、自分の傷が深すぎて周りを傷つけちゃう。

勇磨にあたらないといられないくらい、
私、ツライ。

助けて欲しいのに。

そのまま教室まで一気に駆け出した。

その日1日、勇磨は私を一切見なかった。
隣の席なのに、私が見えないように過ごした。

もう、いいよ。

勇磨なんて大嫌い。大嫌いだけど、正しい。

だから余計に嫌い!

なんで、勇磨が怒るの?

もう十分すぎるくらい罰は受けてるのに。

もうドン底まで落ちてるのに。

友達なら優しい言葉くらい。

どんな私も嫌いにならないって言ったのに。

うそつき勇磨!