「ごめん、勇磨。やりすぎだね、私。」

私を離し、おでこをペシッとする。

「これからは、ケガしないように、
気をつけるから。暴走しない」

ちょっと眉をあげて笑う。

「絶対だぞ。約束だ。」

また約束増えた。

ちょっとしゅんとした私の横で
大きなため息をつく勇磨。

「ま、俺も悪かったかな、今回は。
ちょっと煽っちゃったし。
でも元を正せばやっぱりナナが悪いな。」

は?
なんでよ!

私の目を覗き、目線を合わせる。

「俺が誰かと付き合っても、本当にいいの?
彼女ができたら、きっと、お前が泣いてても
そばにいられないよ。ツバサの無茶ぶりも、
俺は付き合えないから、ナナは1人で、
あの2人と会うことになるんだよ。」

それは、
そう、だ、ね。

勇磨に彼女。

そっか。

彼女ができたら、今みたいには
いられないってことだ。

ツバサくんと私の関係と、一緒だ。
カスミちゃんに悪いから、2人でいられない。

寂しい。

勇磨もそうなったら、私、本当に寂しい。

大事な友だちだから。

でもそれって、わがままじゃ。

「いいの?それでも?
俺、他の子に、夢中になるよ」

ヤダって、言いたい。
寂しいって言いたい。

わがまま言いたい。

葛藤する私の姿に突然笑いだした。



何?

笑うとこ?

「本当、かわいくないな。
やだやだやだやだやだやだ!
って、顔に書いてあんのに、素直に
なれない残念。」

やだ、なんて。

「だって、わがままになっちゃうもん」

更に爆笑する。

「それって、やだって言ってるのと一緒。
認めちゃったの?かーわい。」

ケラケラ笑う。

何、ムカツク!

「ほら、けんか早いのやめるんだろ、
安心して、ナナちゃん。
俺、他に彼女作る気ないから。
本気で俺を見てくれる女もナナだけでいい」

目をキラキラさせて笑う勇磨に
不覚にもドキドキした。

「何、それ。勝手に言ってて!」

そのまま横になり空を見上げる勇磨

「俺の事、傷つける奴は許さないって、
そう言ってたって、聞いた。
アイツらに突き飛ばされてケガしてるのに、
しがみついて約束させたって。
そんな事してくれる子が1人そばに
いてくれたら、もう、充分だよ。」

照れくさいのか、こっちを見ない。

なんか、何、これ。
きゅんとする。

無駄に感動させないでよ、バカ。

勇磨のおでこをペシッとたたいた。

はね起きてムクレた顔をする。
でもすぐに真顔になり私の頭に手を置いた。

髪をクシャッとする。

やる事がいちいちドキドキさせる。
なんだ、イケメンキャラがたってきた。

もうっ
手を払い髪を直す。

「怖っ。やっぱ、かわいくねーな。」

大きくため息をつく。

「ナナ、すぐに助けに行けなくてごめん。
庇えなくて、ケガ、させてごめん。
ナナの行動、読めたはずなのにな、
俺もまだまだだなぁ。」

ふぅ、私もため息をついた。

「ううん、私もごめん。
勇磨がそう思うって分かってたのに。
私もまだまだだなぁ。もっと、勇磨を
知らないと!」

2人で笑う。

「だな、お互い、分かり合えて日が浅いからな。まぁ、これから、もっともっと、ヤバイナナに
会えそうだな。」

楽しい!
勇磨といると楽しい!

ツバサくんとはまた違う。
ずっとこのままでいたい。

このまま友だちでいたい。

そっか、そうだよね。

勇磨といると、笑えるんだ、私。

きっと土曜のコスモワールドも大丈夫!

ツバサくんがカスミちゃんを見つめていても
2人が仲良く話していても、勇磨がいたら
大丈夫!

よしっ。

やっぱり、手放せない!

勇磨と離れるのは、
彼女ができて、距離ができるのは
今はやだ。

今はわがままでいる!