「お前、今
また俺を心の中でディスってるだろ。
バレバレなんだよ」

スルドイ!

「だって、なんで勇磨以外ダメなのかなって」

この言葉を皮切りに結局、またケンカした。

「なんだよ、
お前は他の男にハグされたいのか?」

「違うって、そんな事言ってない」

「言ってるだろ、ああ、ツバサとしたいのか。
というかツバサとしてるだろ」

「うん」

「は?ふざけんな。もう、やめろ。」

「何でそんな事、言われないといけないの?」

「俺が嫌なの。」

「出た!中2病」

「何でも中2病で片付けるな。
俺はお前が心配なんだよ」

「心配?何が?」

「お前はさ、
自分が女って自覚が足りないんだよ。
男は好きな女じゃなくても触れたら、
その気になれるんだよ。考えた事ないだろ。
ナナもツバサもその辺は小学生並みだ。
いいな、軽々しく男に触れさせるな。
約束しろ」

最後の勇磨の言葉で私は納得した。

確かに、友達でも男女だ。

ちゃんと線を引かないと
いけないのかもしれない。

ツバサくんに私が触れるのも、
私が触れられるのも、
他の人から見たら誤解はされる。

そういうのは避けないとカスミちゃんにも悪い。

でもそれは勇磨だって同じでしょ

「分かった。ごめん、勇磨。ありがとう。
これからは気をつける。
勇磨にもしないようにするから安心して」

私の頭に手を置いて髪をくしゃくしゃにする。

やめろっ。

「俺はいいの。モテ男だから。
簡単に女にその気にはならない。
プロだからな。
それにナナも誰かにぎゅっとされて、
癒されたい時もあるだろ」

うん。まぁ。

でも、やっぱり男の子にぎゅっとされるのはダメなんじゃないかな。

いくらモテ男でプロでも。

なんか解せない。

「難しく考えるな。
俺以外の男に触らせない。
手もダメだからな。約束だ」

また真剣な瞳。

「うん、約束する」

結局、無理くり納得するさせられた。

その夜、ベットに寝転んで考えた。

勇磨って私を妹みたいに思ってるのかも。

私がツバサくんを弟みたいに思ってた時と、
なんか扱いが似てる。

ツバサくんが心配で気になって、
守ってあげたくて叱りたくて褒めたくて。

ツバサくんがあの頃、
女の子にフラれて泣いてたら、
私も抱きしめてあげたかもしれない。

ケンカはしなかったけど、
でもあの時の私と今の勇磨は似てる。

そっか、勇磨が近いのはそういう事なんだな。

やたらとスキンシップするのも理解できる。

確かに「俺にだけ」って言うのはあってるかもしれない。

妹とは何の気兼ねもなくハグするだろうし。

ミアンちゃんにするのと、
同じようにしてくれてるんだ。

最近の勇磨の行動の理由が、
分かってスッキリした。

だとしたら、勇兄!

付き合ってもらいますよ、遠慮なく。

私の初恋が友情に変わる日まで。