ああ、前も言ってくれたね。

どんな私も嫌いにならないって。

ちょっと安心したんだ。

味方が出来たみたいで。

立ち上がって、両腕をぐーんと伸ばして
ストレッチをする勇磨。

木漏れ日を浴びてキラキラしている。

確かにこれはカッコイイな。

モテるの分かる。

でも外見だけじゃなくて、勇磨は
本当にいい奴だ。

私を信じてくれる。
そのままでいいって、自由になれる。

あぁハグしたい。

でも勇磨はきっと

「俺を狙ってる」って言うよね。

そんな私の様子に気がつく。

「なんだよ、なんか言いたいなら言えよ」

もう、すぐ怒る。

「嬉しかったからさ、
ハグしたいなぁって思ったんだけど、
中2病の人は危険かなって」

その言葉に照れるような表情をする勇磨。

何で?照れるところ?

分かんないなぁ。

「ほら、いいよ。ハグしようぜ」

両手を広げて待つ勇磨に、
自分でも驚くくらいドキドキした。

あ、れ、違和感。

そんな思いを振り切るように、
勇磨の腕の間に入り、
背中をトントンと叩いて、
ハグし離れた。

首を傾げる勇磨。

「それだけ?」

今度は私が首を傾げる。

そんな私の肩を引き寄せて、
ぎゅっと抱きしめる。

「ハグってこれだろ」

え。

勇磨は私を包み髪に顔を埋める。

「いっちょ前に女の子のいい匂い」

いっちょ前って。

「勇磨、違うってハグは。
嬉しい時に背中トントンするやつだよ」

でも離してくれない。

「俺のハグはこれなの。」

じゃあハグしようって、
気軽に言えないじゃん。

離してよ、バカ勇磨!

私を少し離してから顔を見る。

「気軽にハグしようなんて、
他の男に言うなよ。
お前は女なんだ。
女は男に気軽に触らせないんだ。
自覚しろよ、バカナナ。
ツバサにも言うなよ、いいな。」

そう言ってまた力を込める。

納得いかないんだけど!

「ねぇ、勇磨も男じゃん!
なら勇磨もだめだよね?
もう、離してよ」

私の言葉は無視された。
もう観念するしかない。

「分かった、分かったよ。
勇磨以外には言わないから、
だから離して。恥ずかしい」

私を離して空を見上げる勇磨。

「分かったならいい」

なんでそんな偉そうなんだ。

これも中2病の症状かな。