え。

それはどういう意味?

分からずにいる私を離して笑う。

「お前がこれ以上太ったら、
こうやって支えられないだろ。
だから体重制限ありにする」

は?

何それ!

「これ以上って!私、標準なんですけど!」

というか、友達の基準ってなんだよ!

バカ!
もう、嫌い!

「あ、あった、これだろ!」

勇磨が砂の中からピンクの貝を拾った。
それはピンクが濃くて大きくてキラキラしてる。

さっきの貝殻とは違う。

「あ、違うのか」

そう言って投げようとする勇磨の手を
握って止めた。

勇磨が振り返る。

「いい、これがいい。
さっきのよりもすごくいい。
こっちが欲しい!」

本当にそう思った。

なんてキレイなんだろう。
嬉しい。

「ありがとう、勇磨。大事にするね。
すごく嬉しい!」

満足そうに笑う勇磨が、
不覚にもカッコよく見えた。

海がバックだからか。

キラキラ輝く波と太陽バックで
増し増しに見えるんだな。

「良かったな、もっといい物が見つかって。」

勇磨の言葉に励まされた。

そうだね。

うん、そうだ。

欲しくて欲しくて、
でも手に入らない物も大人になると多くなる。

でもきっともっと気にいる物が見つかる。

手に入らなくて泣いても大丈夫。

また見つかるから。

それまでは勇磨に泣かせてもらうか。

「なぁな、なぁな、」

向こうからツバサくんと香澄ちゃんが走ってきた。

2人、手を繋いでる。

やっぱり、付き合うんだな。

忘れてたのに、心が軽くなってたのに。

また、チクチクする。

勇磨がまた上着を私の肩にかけて、
そのまま肩を抱いた。

「なぁな、あのね。」

ツバサくんが私と勇磨を見る。
私達を交互に見て、
思い切ったように口を開いた。

「なぁな、工藤と付き合うの?」

予想外の言葉に驚いた。

え?

なんで?

「だって、ほら」

あぁ、肩の手か。

ううん、俺たちは友達だよ。ね、ナナ」

ツバサくんは納得しない顔をした。

「工藤、それならなぁなに気安く触るな。
なぁなは工藤の取り巻きの女の子とは違うんだ。
真剣に付き合わないなら、なぁなに近づかないで」

え?