午後のHRで委員会決めをした。

なかなか決まらなかったのは体育委員だ。

体育祭や球技大会など行事が多すぎて、
部活をやりたい子やバイトをしてる子は、
やりたがらない。

私もできたら何もしたくないから、
窓の外を眺めて過ごした。

ツバサくんと行く駅前の
パンケーキ屋さんの事を考えてワクワクしてた。

ツバサくんって話題のスイーツに目がない!

ただでさえ、甘いものが大好きなのに、
「話題」って言葉が付くと、
もう、いても立ってもいられない。

いつも一緒に行こうとおねだりをされる。

もうっかわいすぎ!

「おい、ね、おい、」

そう隣から呼ばれ現実に戻った。

最悪!陰気野郎だ!

「何?」

私もつっけんどんになる。

「早く挨拶しろよ。次は俺なんだよ」

は?

思わず大声を出してしまった。

黒板を見ると、
私と陰気野郎の名前が書いてある。

体育委員の欄だ。

「な、なんで、こうなったの?」

私の声に先生が言う。

「やだなぁ、木下さん。
誰もやりたがらないから今、
くじを回して引いてもらったじゃない」

え、うそ、私、引いたのか。
ボーっとしてた。

「じゃあ決定ね。
体育委員は木下さんと工藤くんね。」

決定した途端、女子がこぞって
自分が体育委員をやると言い出した。

え?

なんで。

なら初めからやれよ!

「じゃあお願いしまーす」

と私が言うと先生が首を振った。

「不純な動機の人にはやらせません。
くじ通り木下さんと工藤くんね」

ちょっと待ってよ、
体育委員の不純な動機って何?

何か利点あるわけ?

やりたい人がいるならやってもらってよ。

納得いかない。

「やりたい人にやってもらえばいいのにね」

工藤くんにそう言ってみた。
初めて工藤くんは私を見た。

おっ、見た。

「そういうの、いいから。」

ただそれだけ言った。

どういう意味?

そういうのって何?

言葉、通じない?
この人、本格的にコミュニケーションが難しい人なのかも。

ちょっと怖い。

なるべく近づかないようにしよう。

ヤバイ奴には関わらない!