「勇くん。何してるの?」

甘い声とともに、
ゆるふわカールで目がクリクリの、
漫画に出てくるような
超かわいい女の子が現れた。

す、すごいかわいい。

髪型もそうだけど、服もふわふわで
それに負けない白い肌とピンクのほっぺ。
何よりくっきり二重であまい瞳。

そのゆるふわガールが工藤くんの腕にからむ。

「ねぇ、勇くん、この子だぁれ?」

工藤くんは絡んだ彼女の腕に
そっと手を置いて優しく答える。

「クラスの子だよ。」

へぇ、まともに会話してる。

しかも優しい顔できるのか。

ちょっと安心したよ。

「あなた、私の勇くんに何の用?」

上目遣いに私を見る瞳にすっかり舞い上がった。

「何も用はないです」

それだけ言った。

かわいいが過ぎる!

「嘘だぁ。あなたも勇くんの事、
好きなんでしょ。でも、だめ。
私の勇くんだもん。」

やきもちを妬いてるのか、頬を膨らませてる。

きゃわゆい。

きゅんきゅんだ!

勇くん、ウザイけど、あなたは超かわいい。

ただ、「あなたも」、が気になる。

「彼女さんの前では言いにくいけど、
それはないです」

断言した。ごめんなさい。

彼女が、ふふっと笑う。

「なんで言いにくいの?
みんな勇くんが好きなんだからいいじゃない」

むしろ嫌いだから言いにくい。

うん?みんな?

でも、なんでこんな天使みたいな子が、
この中2病の彼女なんだろ。

でもやっとできた彼女に、
こんなかわいい彼女に言えないよ。

中2病の陰気野郎だから嫌いなんて。

何も言えず彼女と工藤くんを見る。

困る私の様子に、工藤くんは、
また勘違い野郎の顔をしてる。

「やっぱり俺を狙ってたんだな。
手の込んだ事、してんじゃねぇよ」

ウザイっ。

コイツ、私の親切を無駄にする!

またカーッと血が上った。
冷静さがぶっ飛ぶ。

「すみません、ちょっとだけ借ります。」

そう言って工藤くんを引っ張り、
彼女から離れた所まで連れて行った。

「いてっ、引っ張んな」

もう我慢できない。

「あんたね、
彼女の前だから我慢してたんだけど、
本当、最悪!
よくあんなかわいい彼女ができたもんだよ。
彼女に言っても良かったの?
大嫌いですって。
中2病の勘違い男で超ウザイって。
コミュケーション能力ゼロのあなたにできた、
貴重な彼女でしょ。
悪口伝えたら悪いって遠慮してやったの。
なんで分からないかなぁ。
そこはありがとうでしょ!
というか、安心したよ。
工藤くん、相当こじらせてると思ってたから。
ヒドイ環境の中にいるんじゃないか、とか。
過去に何かあって、
人とまともに付き合えない人かとも思ったし。
普通にヤバイ奴かとも思ったし。
だから彼女がいて、彼女には、
まともに話せて優しくもできる。
人間として普通かもしれないと思って
安心したよ。
まぁ私には考えられないけど、
工藤くんにも何かいい所が1つでもあるんでしょ。
彼女、大事にしなね」

そう言ってから彼女に頭を下げた。

じゃあね。

と手を振って帰ろうとした時、
彼女がケラケラ笑いだした。

あんまりにも爆笑するので、
止まって見入っちゃった。

ヤバっ。
爆笑しても天使!

工藤くんは彼女のそばに行き肩を軽く突く。

は?
カチン!

「ちょっと、女の子を突き飛ばさないでよ。
やっとできた彼女でしょ。」

私のその言葉に更に爆笑する彼女。

「笑うな、ミアン」

工藤くんの言葉に、ミアンと呼ばれた彼女は笑いを必死に堪える。

「ごめんごめん、勇くん、この子、たぶん、
ううん、絶対、天然!初物!」

え?何?

どういう意味?