悩んでるツバサくんを助けてあげたい。

カスミちゃんと上手くいって欲しい。

カスミちゃんもツバサくんも大好きだから。

「ダメだよ、ツバサくん。
恥ずかしいなんて言ってたら、
大事な人を失うよ。
カスミちゃんだって、
恥ずかしいのに言ってくれてるんだから。
それに1回言えるとあとはね、
気持ちのままに何度でも伝えたくなる」

「好きな人に好きって言えるのって、
案外、贅沢なんだよ。
私だって、言えなくて。
でも、言わなかったら、勇磨を失ってた」

私の言葉をじっと聞いていた。

そして真面目な顔をして
突拍子も無いことを提案してきた。

「ねぇ、なぁなで練習してもいい?」

え?何?

それはどういう事?

「だから、
なぁなをカスミちゃんだと思って、
好きって伝えてもいい?」

いや、それは、どうなのかな。

意味、あるかな。

というか、私の話、聞いてた?

かなり、語ったのに!

全く、ツバサくんって。

大きなため息をついて、受け入れた。

勇磨にまた怒られるかもしれない。

だけど練習ならいいのか。

「う、ん。
それに意味あるとは思わないけど、
ツバサくんが納得するするなら」

そう言ってツバサくんを見つめる。

ツバサくんは、大きく息を吸って目を閉じた。

ちょっと笑える。

瞑想してるのか?

ふいに目を開けて私をじっと見つめる。

「俺、す、すす、す。」

思わず吹き出した。

「ダメだよ、ツバサくん。
そんなんじゃ怖い。
分かった!じゃあ私から聞くね」

また深呼吸して準備をするツバサくん。

「ツバサくん、私の事、好き?」

答えをじっと待つ。

私をじっと見つめ少しずつ近づく。

ツバサ、言え!

好きだって言え!

頑張れ!

簡単じゃん、ほらほら!

それにしても。

近っ!

黙って間合いを狭めるのは怖いって。

ほらっ、言って!

「待って、ダメ、ナナは渡さない!」

いきなり勇磨が割って入ってきた。

かなり息を切らして。

「はぁ、はぁ。
ツバサ、ナナは、絶対に渡さない。
ナナだけは嫌だ」

勇磨は私を隠すように立ち、
ツバサくんを見る。

ツバサくんと私は、
驚いて勇磨をじっと見た。

勘違いしてるんだ。

走って来てくれたんだ。

やばっ、すごく、嬉しい。

思わず顔がにやける。

ただ、後ろには勇磨を追いかけて、
かなりの女子も移動してきていた。