私を好きだって言ってくれたけど、
やっぱり勇磨の口からちゃんと聞きたい。
「勇磨は、
女の子にチャラチャラ適当な事を言って、
誘ったり遊んだりする人じゃないから。
だから私は、
勇磨は真剣なんだなって思った。
南さんに真剣なんだなって」
勇磨の女嫌いとこじらせを知ってるから、
南さんへの対応が、特別なのはよく分かる。
黙って私を見ていた勇磨。
目が鋭くなり、また怒らせた。
でも次の瞬間には優しく見つめて言った。
「質問に質問で返すなよ。
まずはナナから応えて。
ナナの答えを信じるから。
ナナを信じるって俺、言ったのに、
何度も、勝手に想像して決めるなって、
叱られたのにな。
俺さ、自分でも嫌になるくらい、
情けなくてガキだから。
ナナの話を聞く前に反射的に、
アイツをぶっ飛ばしたくなる」
私の視線に勇磨は赤くなり横を向いた。
「なんだよ、見るなよ。
ナナも悪いんだぞ。」
え、なんで。
「だってナナ、
俺がいなくても楽しそうだから。
俺が意地悪言って泣かしても、
少しするとケロっとしてアイツと帰る。
そのくせ俺と南さんが一緒にいると、
嫌な顔するだろ。
だから、俺、
わざと泣かすようなマネもした。
でもやっぱりアイツの所に行く。
だけど、今は俺に頼ってくれた。
すげぇ嬉しいけど訳が分からないんだ。
だからナナにハッキリと聞きたい。
俺の事、どう思ってるんだよ。」
勇磨。
バカ勇磨。
タツキ達との事だって、
私、ちゃんと説明しようとしたよ。
トモの事だってそうだし。
それに今だって。
私、告白の途中だったのに。
本当にバカ勇磨!
だけどバカは私も一緒だ。
もう、ずっと勇磨が好きだったのに、
認めるのが怖かった。
ドキドキして自分が自分じゃなくて、
余裕がなくて、でもすごく嬉しくて、
胸が熱くなる。
もうずっとそう感じてたのに、
見ないふりして勇磨を傷つけた。
ちゃんと伝えよう。
好きだって、言いたい。
誰にも渡したくないって。
勇磨だけは嫌。
深呼吸をした。
「勇磨、私、学期末テストの後、
チカも勇磨も部活でつまんなくて、
隣駅のショッピングモールに行ったんだ。
服とか見て、あ、このヘアゴム買って」
勇磨が首をかしげる。
「は?なんの話?」
いや、だから最後まで聞けって!
「で、そこでね、小学生の頃に、
習い事で一緒だった友達に再会したの。
それがタツキ。金髪の3年生。
同じ高校だったって盛り上がってさ。
で、一緒にいた先輩やトモを紹介されたんだ。
見かけは派手で、人数も多いから、
不良集団に見えるかもしれないけど、
みんな礼儀正しくて優しくて、
勉強だってするんだよ!」
またチャチャを入れる
「勉強?小学生か」
もう、話さないからね!
そう怒る私にふてくされる。
「それで私も仲間にしてもらってね。
同じ目標に向かって今、頑張ってるの。」
緊張で手が震える。
また大きく深呼吸をして勇磨を見つめた。