私とトモを見て表情が陰る。
「ちび、ケンカしないようにね。
キレない、いいね。」
そう言い残してトモは帰って行った。
「なんだ、アイツ、保護者気取りか。
気に入らない」
そう言ってトモの後ろ姿を睨む。
「ナナ、アイツと出かけてたの?デートか」
首を振って下を向いた。
「まだ不良軍団とつるんでるって聞いた。
アイツ、友永のせいか。
アイツにそそのかされて」
違う。
なんで。
なんでそんな事言うの。
「違うよ。
トモは私の為を思って色々してくれるんだよ。
他の仲間も不良軍団なんかじゃない。
私にとって大切な人達なの。」
分かってよ、勇磨。
お願い。
でも勇磨は聞く耳を持たない。
「騙されてるんだよ。
ナナ。友永の言う事なんて聞くな。」
なんで信じてくれないの?
勇磨なんて嫌い。
相変わらず私の仲間を悪く言う。
「最初から話を聞く気ないなら、
来ないで。
私の大事な仲間を、
そんな風に言う勇磨なんて大嫌い!」
取り乱す私を無理に引き寄せる勇磨。
「やだ!離して!」
無理矢理抱きしめて言い聞かせようとする。
「どうしちゃったんだよ。
ナナが別人みたいだ。
夜、遊び歩いたり男と毎晩出かけたり。
そんな派手な服着てナナらしくない」
勇磨は離してくれない。
「やめて、離して。
私は何も変わってない。
変わったのは勇磨だよ。
勇磨は私が嫌な事はしなかった」
その言葉に勇磨は腕の力を抜いて私を離した。
「ごめん。」
やだ、許さない。
私の大事な夢と目標と仲間を悪く言った!
前の勇磨は私の事を信じてくれた。
そう言う私に勇磨は肩を落として呟く。
「じゃあ言って。
その仲間と何をしてるの?
目標って何?夢って?」
真剣な瞳が私を捉える。
言いたい。
でもこれは約束だ。
「言えない」
勇磨が何かを諦めた。
「分かった」
それだけ言って帰って行った。
勇磨に信じてもらえなかった。
信じて欲しいのに。
何で信じてくれないの?
私の大事な仲間を、
夢を認めない勇磨なんて、
もう嫌いだ。
勇磨からもらったヘアピンを外し手に握った。
大っ嫌い。