__翌日。
和と久しぶりに一緒に登校した。
前まで何もなかったかのように、いつもどおり話ていた。
そう、いつもどおり。
教室に入るまでは。
その中に入ったとき、私は青ざめてしまう。
和に目を向けると、彼女も同じ様子だった。
「何、これ‥‥‥。」
それは真っ黒な机だった。
天板は文字‥‥‥、遠くから見えるのは大きく『バカ』だの『死ね』だの書かれていた文字で埋め尽くされいた。
その真っ黒な天板の上には、一輪の菊が添えられた花瓶と『遺書』と書かれた文字だった。
「っ!?」
ひどくおぞましい。
そして、何よりも『悪夢』を思い出させるのに十分なその光景に吐きそうになった。
けど、今なにか粗相をされると馬鹿にされる‥‥‥、
これは中学のときによく学んだので我慢して和と一緒にその机に近づいた。
周りをチラリと見ると、クラスのほとんどが既に来ていて誰しもが悪魔のように笑っていた。
もう人じゃない。こんな所業‥‥‥!!
ぞわりと鳥肌を立てながら、その遺書へと手を伸ばした。
震える手を、どうにかして抑えようにも抑えることはできなかった。
「すみれ‥‥‥、貸して。私が読む。」
そう言って、優しさからか和がその紙を持った。
このイジメみたいなのは‥‥‥、噂のせい?
『茜をいじめた』から『私をいじめてもいい』ってこと!?
おかしい‥‥‥!!
おかしいよ!!
でも、ショックすぎて何も言えない。
唇は閉じたり開いたりを繰り返し、つくった拳は握りすぎて痛い。
イヤだ‥‥‥、イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!!!
いじめられたくない!!
痛い思いをしたくない!!
辛い思いをしたくない!!
歪んだ視界が正しい世界を教えてくれない。
でも、泣いてたまるもんか、と目をこすると視界がクリアになった。
「‥‥‥。」
その視界には一人いた。
和だ。
「和‥‥‥?」
そう呼びかけると和は黙ったまま、私に視線と『遺書』と書かれた紙をよこした。
__怒った顔で。
私が、何かを、した‥‥‥?
そんなはずは‥‥‥。
和が差し出した紙を私は受け取った。
***
私はゴミです。
生きる価値がありません。
だから生きるのをやめます。
木原 和
***
木原、和‥‥‥?
はっと和を見た。
木原さんはこの学校で一人しかいない。
和しか。
なんで和がイジメのターゲットに!?