「小田巻くんはさ、嫌がらせするよ。」


「なら。」


「でもさ、そういうことするとき、つらそうな顔をするんだよ。小田巻くん。」


「あの小田巻が!?」






あ、そっか。



教室での小田巻くんは、クールであんまり感情でないもんね。



なぜか私といるときは表情に出ていて、忘れていたけど。





「うん。ホントにつらそう。つらそうなんだ。」


「‥‥‥。」


「イミフなこと多いし、でもさ。なんか、私をホントに傷つけないというか。優しいんだよね。」






盗撮も、今思い返せばそこまでひどくなかった。



恐怖の鬼ごっこはちょっと怖かったけど。



勝手についてきた遊園地は、なんやかんや楽しかったし。




茜との噂の件は、直接なにかされたわけじゃないし。





「もちろん小田巻くんはキライ。イヤなことされたのは事実だし、怖い。けど。」






__『幸せでなきゃダメなんだ。』





小田巻くんは私の幸せにするために‥‥‥?


そんな気がしてならない。



それに、小田巻くんに言われた『洗脳』。

これも気になる。



前は興奮しながらの会話だったから否定したけど、



今思うと委員長にも、そういう一面があったんじゃないかなと思う。





だってクラスメイトとの信頼も友達もなくしていた私に優しくしたら、


私も委員長に依存してしまう。



というかしてしまっていた。




今、気持ちが冷めたからいいものの、

もしそうじゃなかったらと思うとゾッとする。




もちろん、委員長だってたまたまだったのだろうけど‥‥‥。






でも、彼が私にそう言って、


そして私自身で考えたから私は抜け出せたのかも。


委員長への依存を。







キライだ、小田巻くんは。


でも彼はきっと‥‥‥。




「『優しい』?嫌がらせされているのに?」


「だって、小田巻くんは私を直接傷つけてないし。」


「直接か間接かなんて問題じゃないよ。すみれちゃん。」


「でも‥‥‥。」






ああ、ダメ。委員長は今、冷静じゃない。

前の私みたいに。




小田巻くんが私に茜とのアレを見せたせいで

振られたと思っているからかな‥‥‥。





「いい?すみれちゃん。彼は、わあ!?」


「えっ?委員長!?」









それは一瞬のことだった。