お昼休み、
いつもの場所で私達はご飯を食べずに話した。
「大和くん。」
「どうしたの?」
「ねえ。小田巻くんのこと、知らない?」
「小田巻?ああ、最近来てないよね。それよりも最近冷たいけど、」
「ごまかさないで!!」
それよりも、って。
行方不明の小田巻くんに対して冷たいすぎない?
これは‥‥‥。
「ホントに知らない?小田巻くんのこと。」
「はあ。そんなこと言っても知らないものは知らないし。」
「‥‥‥そっか。」
茜が小田巻くんを連れて行ってた。
そして小田巻くんは茜と大和くんが協力関係って。
ってことは、何か知っていると思ったんだけど。
『何か、隠してそう。』
私の直感がそう告げた。
でも、ホントに知らないかもしれないし、
何よりも仲良くしてくれている彼をそんな風に思いたくなかった。
茜に聞ければよかったのかもしれないけど、
茜は今日、休んでいたから聞くのは明日にする。
「そんなことよりもさ、すみれちゃん。今日一緒に帰らない?」
「‥‥‥ごめん。」
小田巻くんのことを考えて気がついたんだけど、
大和くんのことを考えると頭が痛くなる。
なんていうか、周りが見えなくなるっていうか。
今も大和くんのことを思うと気分が悪い。
最初は浮気されて怒っているのかな?って思ったけど、なんか違う。
とにかく彼と二人でいたくない。
なんかイヤな感じがする。
「‥‥‥この間のことについて謝っておきたいんだ。」
「もう、いいよ。」
あんだけ執着していた彼のこと、今はなんとも思えない。
冷静に考えてみるとそうだ。
‥‥‥終わり、だよね。
恋なんてこんなものかもしれない。
勝手に燃えて、勝手に消える。
大和くんだって私とはなんにもしてないのに、
茜とはそーゆーことをしているし。
もうこれ以上は無理だよね。
自分勝手で申し訳ないけど。
「大和くん。いや、委員長。私達、別れない?」
「‥‥‥!?」
「委員長だって浮気したし、私、もう委員長になんの感情も持てないし。」
最初は浮気されてホントに悲しかった。
でも、今は委員長が何をしようがどうだっていい。
そういうもの、なのかな?
「元々、私が茜をいじめてるっていうウワサを消すために付き合ってくれてたんでしょ?ありがとう。」
でも、
「茜と浮気してるなら、茜が本命のほうがいいと思う。私と無理して付き合わなくても。」
「違うんだ!!あれは角度的にそう見えてしまったと思うけど!!」
「でも、私はもう委員長と付き合うとかはもう無理。ごめん。」
「そんな‥‥‥。」
「ホントにごめんなさい。ごめんなさい‥‥‥。」
「‥‥‥分かった。なら、最後だけ一緒に帰ろう。」
「‥‥‥うん。いいよ。」
委員長の微笑みが辛かった。
このとき、もっと考えればよかった。
小田巻くんについて。
委員長の微笑みの意味について。
茜のことについて。
そう後から思った。
でも、
もう、遅い。
もしかしたら私はこうなる運命だったのかもしれない。
__悪夢に一生ついてこられる。
そんな運命。


