違う!!


俺が彼女の幸せを壊した張本人だ(・・・・・・・・・・・・・・・)!!


そんなこと、許されるはずがない!!


でも、あのすみれちゃんを放っておくのは彼女の幸せ、なのか?


ホントに?



‥‥‥ホントに?




「あらあら?迷っていますね?ですがそろそろ私も家に帰らなくては。食料品は手の届くところにありますので。それでは健康に気をつけて。」





秋月がそういうとドアの開閉音がなり、やがて鍵がかかってしまった。



それを邪魔しようとしても、

足に鎖がついて秋月のところまでは動けない。


秋月もそれが分かっていたから、安心して俺を(あお)っていたんだ。



そんなことが今更分かって、

思わず秋月の出ていった先のドアをニラんでしまう。



そんなことしても意味がないと思っていても。






秋月がいないうちに逃げないといけない。

そんなことは分かっていた。



それに、俺にはわからないことがあって動けずにいた。


彼女の幸せがわからなくて。



ここを出たとしても、彼女とどうすればわからなくて。


何が幸せで何が不幸なのか

全くわからない。




‥‥‥でも。

でもさ、やっぱりあのすみれちゃんを放っておくのは違う!!



委員長の箱庭は錯覚だ。



それを幸せだと感じさせているだけで、

彼女自身が感じる幸せじゃない。



例え、俺が彼女をほしいがためにこんなことを思っているとしても、

でも友達とかクラスメイトと話さず委員長に依存している彼女はおかしい。



彼女の今の幸せを壊す。


これは偽善に過ぎない。



ごめん。



でも、それはホントの幸せじゃないよ。


洗脳だよ。

委員長に思わされてるだけ。



このままじゃ、ホントの幸せが隠されちゃうんだ。




「ごめんね。」




君の幸せを奪ってしまった。


今回の騒動も全部俺のせいだ。


守ろうとして、結局君のこと幸せにできなかった。


偽りでもまた幸せを奪おうとしている。



情けない。


でも、君が許してくれなくてもいい。


ただ君の未来の幸せを守らせて。



「よし、そうと決まれば。」



辺りを見渡した。



ここから脱出して、

そして君にホントのサヨナラをするんだ。


そうして、俺は君への『償い(・・)』を終わらせる。






俺の『好き』が届かなくてもいい。


ただ、君が笑顔でいれる世界にいられれば‥‥‥。