__翌日。


更に状況は悪くなっていた。


教室中が私の悪口であふれていた。




「ねえ、あの噂、ホントらしいよ?」




違うよ。




「あの噂って‥‥‥、秋月さんを平野さんがイジメてるって話?」

「うん‥‥‥。秋月さん、ついに平野さんの前で泣いちゃったって‥‥‥。かわいそうに‥‥。」




茜のそんなとこ、見たことないし!




「平野さん、まだ謝ってないんでしょ?めっちゃ性格悪いじゃん。」




私はやってない!!




「ねえ、平野さんの友達‥‥‥。」

「ああ、あの無表情なロボットみたいな子?」





それって‥‥‥、和のこと!?

知らない人からみたら無表情かもしれないけど‥‥‥。


でも、和はロボットなんかじゃない!!


表情のある立派な人間で‥‥‥!!





「なんかキモいし、平野さんといつも一緒でヤバそう。」




やめてよ!!


なんで、和は関係ないじゃん‥‥‥。













お昼はいつも通り神宮寺くんと食べているけど‥‥‥。


お弁当の具が上手くつかめないし、

なんか‥‥‥、しんどい。



「すみれちゃん‥‥‥。‥‥‥大丈夫?」

「別に。」

「別にって‥‥‥、そんなわけないよね?だって、手が震えてるよ。」

「‥‥‥。」

「もしかして、クラスの噂のこと、気にしてるの?」

「っ!?」




そっか、同じクラスだからあの噂‥‥‥。


イヤな子って思われたかな‥‥‥?




「あんなの気にしなくてもいいのに。」

「えっ!?じ、神宮寺くんも信じてくれるの‥‥‥!?」

「当たり前じゃん。すみれちゃんがそんな人じゃないって話せば分かる。」

「神宮寺くん‥‥‥。」

「だから、ね?」



というと、神宮寺くんは私の震えていた手をそっと握った。


「こんなに震えなくても大丈夫。‥‥‥僕が守ってあげる。」

「守るって‥‥‥?」

「僕、君のことがずっと好きだったんだ。秋月とか小田巻とかとなんて気にしないで、僕だけを見てよ。」

「えっ‥‥‥!?」




神宮寺くんが、私のこと、好き!?




「い、いつから!?」

「う〜ん。ずっと前からかな。一目惚れってやつ。」

「わ、私に!?」




そんな可愛い顔をしているわけじゃないのに。

何で!?




「うん。どう?こんなとき(・・・・・)だから言うんだ。‥‥‥君を、守りたいから。」

「それって‥‥‥。」




『平野すみれは、秋月茜に嫉妬している(・・・・・・)からイジメた。』

っていう噂を

神宮寺くんと付き合えば、『嫉妬なんてしていない』と否定できる‥‥‥!





「でもそれじゃ、神宮寺くんまで巻き込んじゃうよ‥‥‥。」

「いいんだよ。すみれちゃん。()は君と付き合いたい。それだけなんだ。
 別に君が俺のこと好きじゃなくても付き合ってくれるだけでいい。」

「‥‥‥ありがとう。」




ありがとう‥‥‥、神宮寺くん。