〜side 澄〜
「すみれ、ちゃん‥‥‥。」
これで、よかったんだ‥‥‥。
よかったんだ。
よかったんだ‥‥‥。よかった。
「これで、いいのか?秋月。」
後ろに隠れていた秋月 茜に呼びかける。
「ええ。『澄くん』。」
「やめろ。秋月。不愉快だ。」
「おや?不機嫌ですね‥‥‥。何かありましたか?」
「‥‥‥どうどうとすみれちゃんを傷つけんな。約束と違うだろ!!これは!!」
悩む彼女の姿を見るだけで、胸が苦しくなる。
攻撃的な彼女の姿を思い浮かべる。
あの優しい彼女があんなふうに俺を攻撃するなんて‥‥‥。
「はー、せっかく手に入れられたのに残念です。今でも心に彼女のことが住み着いているなんて。」
「‥‥‥。」
「でも安心してください。私の愛であなたを目覚めさせてあげます。」
もしもその恋が目覚めてしまうものならば、
__一生目覚めなければいいのに。
「それにしても彼女を孤立させるの、難しいですね‥‥‥。あとちょっとなのに
‥‥‥。」
「おいっ!だから何もするなって!!」
「ええ。私はなにもしませんよ?ただ、あなたがするだけで。」
「くそっ‥‥‥。」
どうする?
すみれちゃんを傷つけるからと手を引くか‥‥‥?
でもそうするとコイツの今後することが分からなくなる。
協力すれば、多少のリスクを減らせる‥‥‥!!
俺が、俺が‥‥‥。
コイツの命令を聞いていれば‥‥‥!!
「ねえ、『澄くん』。恋人らしく愛をささやいてくださいよ。」
「‥‥‥好きだ。」
好きだよ。すみれちゃん。
「足りませんよ?まあ、今日はこのくらいにしておきましょうか。」
クスクスと笑う声に吐き気がする。
すみれちゃん‥‥‥。
君だけは、どうか無事でいてくれ。
「アイシテル。」