「あの二人は‥‥‥、確かこっち方向に‥‥‥。」


行く、と思うんだけど‥‥‥。

あんまり自信はないからな‥‥‥。


「はぁ‥‥‥。」


多分茜は小田巻くんのことを好きじゃない気がする。

好きだったら、茜はあんな顔をしないから。

そんな彼女に一旦踏みとどまってほしい。

それが私のしたいこと。


だけど‥‥‥、




「見つからないなら、どうしようもないじゃん‥‥‥。」



うう‥‥‥。ずっと茜を探すために、走っていたからのどが渇いたな‥‥‥。


確か、ここからコンビニは遠いし‥‥‥。


ここら辺の公園に自動販売機なかったけ‥‥‥?


ああ、あれかな?

公園を見つけた私は中に入っていった。


ふ〜ん。

噴水があって夜の公園って雰囲気ある‥‥‥。


自動販売機で買ったオレンジジュースの缶を片手に、

ベンチを探して適当に公園の中を歩いていると、男女がベンチにいた。


「‥‥‥うん?待って?あれって‥‥‥?」


いや、小田巻くんと茜じゃん!!

いきなり探していた人を見つけて驚いた。


ホントにあの二人告白する前、もしくはした後なの‥‥‥?

雰囲気、なんか物々しいけど‥‥‥。


じゃなくて、茜と話しをしないと!!


そう思って一歩踏み出したとき、茜の声が私の耳に届いた。




「すみれさんのそういうところ、嫌いなんです。」



えっ‥‥‥?

き、らい‥‥‥?



「‥‥‥。あっそ。」

「では明日からよろしく。彼氏さん。」



彼氏‥‥‥?

ということは二人は付き合えたんだ。


でも、茜は、私のこと、‥‥‥嫌い、なの?


嘘でしょ?

友達と思ってくれてると思ったのに‥‥‥。

今日だって遊園地に誘ってくれたのに。


なん、で‥‥‥。嫌い?私のこと、嫌い、なの‥‥‥?


思わずオレンジジュースの缶を落としてしまう。


下がコンクリートな場所で落としてしまったから音がして、

ふたりとも私の方を一斉に見た。



「すみれさん‥‥‥?」

「すみれちゃん!?」




ああ、缶を開けとかなくて正解だったな‥‥‥。

こぼれてない。


洗えば飲めるかな?

現実逃避をしながら元来た場所へ戻ろうとした、けど‥‥‥。



「すみれさん、大丈夫ですか?」



心配する茜の声が、私の足を踏みとどませた。



「心配、しないでよ。平気だよ。よかったね。茜。告白うまくいって。じゃあね。」



そうやって笑って私は戻ろうと足を進めた。



何で私のこと、嫌いなの?なんていえるはずがなくて。



私のことが嫌いな人に対しても、いい顔する自分がイヤで

唐突に走りたくなった。



むしゃくしゃしてもやもやして。



誰か、助けてください‥‥‥!!




でも、いつも私を追いかける人(小田巻くん)は今日は追いかけてくれなかった。