「学校に到着っと。和、頑張れ。」

「すみれとは違って、数学の宿題なんてすぐ終わる。」

「あはははは‥‥‥。」


思わず苦笑してしまう。


私は知っている。

彼女が数学が大の苦手なことを。


多分二時間目の数学までに終わんないんじゃないかな?


でも宿題をみせてあげても和は喜ばない。

だからそっとしておくのがベストだ。



「すみれさん、おはようございます。」

「おはよう。(あかね)。」



この子は茜。

おっとりとしたような丁寧な言葉遣いの子。

いつもにこやかで笑顔がたえない。


「茜は数学の宿題した?」

「数学の予習のことですよね? しましたけど‥‥‥。
そのいいようだと、また和さん、忘れたのですか?」

「うん‥‥‥。」

「またですか‥‥‥。ところで、すみれさん。」

「うん?どうしたの?」

「昨日委員長についていってから、顔色悪くないですか?

 昨日はたまたまそう見えたからだと思いましたが、今日も悪いです。」

「えっ?そんなに悪い?」

「はい。」



やっぱり小田巻くんに(いろんな意味での)告白と恐怖の鬼ごっこ(ストーカー)をされたせいかな‥‥‥?


ここで一つ、小田巻くんの情報でも探してみようかな‥‥‥。


弱みになりそうな情報の一つぐらいあったら‥‥‥!



「‥‥‥ねえ、小田巻くんのこと、どう思う?」

「小田巻くん、ですか?彼に顔色と関連性が?」

「‥‥‥まあ。」




正直にはいえないことばっかりだな‥‥‥。




「そう、ですね‥‥‥。
顔はイケメン。勉強もスポーツもできる。強豪のサッカー部に入り、先輩方の信頼もあり、夏の大会はスタメンという驚異の実績‥‥‥。欠点らしい欠点は、やはりあのクールすぎる性格ぐらいですよね‥‥‥。」


「うん‥‥‥。」




もう知ってることばかりだった。


「にしても、クールだもんね。ホント。」


あの笑顔が嘘のよう‥‥‥。


「女子がいくら告白しても誰とも付き合わないらしいですしね。」

「えっ。それは初耳。」



そっか‥‥‥。

やっぱり殿上人って感じだな‥‥‥。




「それと、サッカー部はやめるって噂も‥‥‥。」

「えっ?辞めちゃうの?スタメン入ったのに?」

「はい。真相は不明ですが。」




やることなすことに理解が追いつかない。


にしても、やっぱりあのストーカーとは同一人物とは思えない。

あんなにニコニコしている姿見たことないんだけど。

キャラ崩壊してるって。


ホント、何考えてるんだろう‥‥‥?小田巻くん。