空に恋をした雲の話だ。

空は青い。空は青色。

雲は白い。雲は白色。

雲は空のことが好きだった。

ずっと憧れていた。ずっと祈っていた。

雲は白い。

雲は気づいた。

自分は白色だ。

何色にだってなれる。

雲は幸せをつかみにいった。

勇気を出した。

自分で。

自分で青色になった。

笑った。幸せが溢れたのだ。

「ねえ、空さん。私、青色になったわ。
 貴方と一緒よ。私、貴方の一部に
 なったんだわ。とても嬉しいの。
 私、幸せよ。」

消えた。

「そうか、それは良かったな。
 貴女が幸せなら、よかった。」

空は失った。空はなくしてしまった。

僕には貴女が、見えなくなってしまった。