『陽愛。ベランダに出てみようか』


え…


『あ、はい』


初めてだ…


先生の部屋のベランダに出るの。


これって、ちょっとだけ素敵なシチュエーション?


私達は、横に並んで手すりの前に立った。


目の前には綺麗な夜景が広がる。


見慣れた景色なのに、いつもよりキラキラしてみえるのは先生がいるから?


『いい風だ』


『本当ですね。気持ちいいです』


『こんなに綺麗な景色、今、陽愛と2人きりで見てるんだな』


しみじみと言ったそのセリフにめちゃくちゃドキドキした。


『私…いいんですか?こんな風に毎回先生の部屋に来て…先生と2人きりで話して…』


この状況が背中を押してくれたのか、私は初めてその疑問に触れた。


『俺が陽愛を呼んでるんだから…もちろんだ』


『でも、たまたま隣に引越してきたからって、もしそれが私じゃなくてもこんな風に部屋に入れてたんですよね?』