『まだ早かったかな』


待ち合わせ場所には陽愛の姿はなかった。


いつもだいたい先に来てるのに…


なんか…


ちょっとゾワッとした。


もしかして事故にあった?


それとも誰かにナンパされて連れていかれたとか?


俺は、自分の想像を少し強引だとは思いながらも、本当に…心配になった。


その時、


『佑都!ごめん』


目の前にコーヒーショップのロゴが入った紙袋を手に陽愛が立っていた。


『陽愛』


笑顔で現れた陽愛を見て、心底ホッとした。


『ごめんね。ちょっと冷えるから温かい物をと思って。はい』


紙カップを差し出して、陽愛はニコッと笑った。


俺…変に赤面してないか?


『あ、悪いな。これ好きだから』


財布を出そうとしたら、


『いいって。映画出してもらったんだし、これは私から』


って、言ってくれた。


『ありがとう』


温かいカフェオレを1口飲む。