先生は、課題が終わって、ノートを閉じた瞬間に言った。


『2人で勉強してたこと、みんなには内緒な』


って。


目の前の五十嵐先生の顔…


この世のものとは思えないくらい綺麗でカッコよくて可愛くて…


私は、何も言わずにうなづいた。


ううん、言わなかったんじゃない、言えなかったんだ。


部屋に戻って、私はしばらく放心状態だった。


テーブルに座って、課題のノートを見つめる。


これは夢じゃない…


今まで私は五十嵐先生と2人きりでいたんだ。


帰り際、先生とアドレスの交換をした。


先生と生徒がそんなことしていいわけない。


わかってるけど…


それでも…


断る理由なんてどこを探しても見つからなかったから。


「1人で何かと不便なんだ。時間がある時でいい、また食事を作って欲しい。お礼に英語は俺が教えるから」


そんなこと言われて、私は思わず前が見えなくなった。