『気持ちいい~』


両手を広げ、深く息を吸う。


その時、隣のベランダの窓が開く音がした。


え!!


嘘みたいなタイミング。


どうしよう…


先生に声かけた方がいいのかな?


でも、もし彼女とかだったら…?


なんて考えてるうちに、五十嵐先生の声が聞こえた。


『夜景か…』


『えっ?』


思わず声を出してしまった。


『陽愛?』


『あ、あ、はい。こんばんは、先生』


隣のベランダとの間には壁があって、先生の姿は見えない。


『ベランダで何してる?』


先生の…カッコ良くて色っぽい声が聞こえる。


なんか…変な感じがする。


学校と同じはずなのに、1枚壁を隔てて聞こえる声に妙にドキドキするのは何でだろう。


これって…今は私だけに聞こえてるんだよね。


そう思ったら胸がいっぱいになってきた。


『えと…夜景とか星が綺麗に見えるんで、よくこうしてベランダから外を眺めるんです』


冷静なフリして精一杯答えた。