卒業式で全部のボタンを取られたからって、わざわざ友達に借りてきた学ラン姿の佑都。


この姿を見るのは…これが最後。


これからはお互い新しい制服に身を包むんだって、そんなワクワクした気持ちを今でも覚えてる。


『佑都んち、今日のご飯何だろ?』


『今日はすき焼き』


『嘘!いいな~羨まし過ぎる』


『いいだろ?来るか?』


『う~ん、久しぶりに佑都の家族にも会いたいけど…お姉ちゃん帰ってくるからなぁ~』


『そっか。紗也さん、頑張って仕事してるもんな』


『うん。だから、すき焼きは…我慢だな』


佑都は、私のその言葉に「…だなっ」って言ってニコッと笑った。


中浦 佑都(なかうら ゆうと)17歳。


同じ高校に通うクラスメイト。


バスケ部の副キャプテンで、身長が180cm近くあるから、158cmの私からしたらかなり見上げる。