『佑都、大丈夫?そんな走らなくても』


『これ』


肩で息をしながら、右手を伸ばして何かを差し出した。


『これって…』


『…陽愛、見たいって言ってただろ』


それは映画のチケットカード。


ちょっと前に、見たいって佑都に話したことあった。


『覚えててくれたの?』


『まあな。そろそろ陽愛の誕生日だしな。一緒に行こ』


『あ、うん。チケット代払うね』


私が財布を出そうとしたら、


『いいよ、そんなの。誕生日プレゼントだと思ってくれたら』


って、ちょっと照れたように言ってくれた。


『あ、うん。いいのかな…』


『いいって言ってるだろ』


『…わかった。じゃあ、甘えるね。すごく楽しみだな』


『そうだな』


私は楽しみなんだけど、佑都は別に見たくないんじゃないかな?


学園のイケメン先生を一途に想う女子高生の話なんて…