『あっ、すまない。さっきご挨拶しようと思ったら、すぐに陽愛を呼んできますって中に入っていかれたから』


あの慌てぶり、先生の話をろくに聞かずに私を呼びにきたんだな。


紗也も五十嵐先生のこと、親代わりで懇談に来た時に会ってびっくりしてたもんね。


「あんなイケメンがこの世にいたとは!」


って、ずいぶん騒いでたから。


彼氏の1万倍カッコいいなんて言ってたな。


紗也の彼氏だって…それなりにイケメンなんだけどね。


でも…


五十嵐先生相手に容姿で勝てる男性なんて…


絶対にこの世には存在しないから。


もちろん性格も運動神経も…頭も良くて、全てが完璧。


そんな人…


他にいるわけない。


何か欠点があるとすれば…いつか、誰か別の女の人と結婚してしまうこと。


もう、してしまったかも…知れないけど。


そして、紗也も照れながら挨拶をして、私達はお互いぎこちないまま別れた。