この部屋はとても狭くて、私の寝ているベッド以外には、横に水と薬を置くテーブルしかない。

手の鎖は頭の上のベッドフレームに、鎖はおそらく、ベッドの脚かなにかにつけられている。

そのため、身長の低い私には足の鎖が長く感じるのである。


「...あの人は誰なの?」


そう誰もいない部屋に問う。
誰か、答えるのではないかと願って。

でも誰も答えるはずもなく、ため息をついた。


初めて会ったはずの、京極律。

名前に聞き覚えもなければ、顔に見覚えもない。
相手は私を知り尽くしていそうだが、私はなにも...

ガチャガチャッと音を立てて、手の鎖を引っ張る。
しかし簡単に外れる気配などない。

早くここから出してほしい。

この窮屈な部屋から出せとは言わずとも、せめて鎖は外してほしい。

外してさえくれれば、この部屋から出ないと誓うのに。


「...寝よう」


薬の効果が回ってきて、私は大人しく目をつぶった。