昼頃にアキがきて、私を見下ろした。


「...それでいいのか」


「じゃあ、他にどうしろと」


「まだ若い。こんな鳥籠にいるより、お前は―――」


「鳥籠に長い間いた鳥が飛び立ったら...きっと野生の他の動物に、食われて死ぬでしょう」


鳥には鳥籠が似合いますよ、そう言って私はゲームをコンテニューする。


「...律が起きた。夕方には退院から戻ってくるぞ」


最後のチャンスだ、そういうかのようにこちらを見ている。

でもそれでも、ここを出る気にはならなかった。


「廊下に落ちてる鍵を使って、この部屋の鍵を閉めて。それで、律さんに返してあげて」


「......そうか。わかった」


「ありがとうございます」


「...幸せにな」


ぽんぽん、そう頭を撫でて、アキは部屋を出ていった。