高校の時から、ずっと片想いしている奴からパーティーの招待状が届いた。あいつがーーー志帆(しほ)が招待してくれたんだからと、俺は着慣れないパーティー用のスーツを着る。ネクタイを結んだ時、あることを思い出した。

「そうだ、あれつけて行こう」

引き出しの中から取り出したのは、小さな高級感のある箱。その箱の中には、志帆が俺の誕生日プレゼントにくれたネクタイピンが入っている。大事なものだから、なかなかつけられなかったけど、今日は別だ。

高校を卒業して十年。お互い別々の大学に進み、俺は警察官に、志帆は親の経営する会社を継いで女社長として会社を引っ張っている。忙しいはずなのに、志帆は俺にたまに連絡をくれて二人で食事をしたりする。

高校の時とは違って、今の志帆は大人の女の魅力があふれている。艶やかな髪を伸ばし、化粧をし、体型に気を遣い、誰もが見惚れてしまう美しさを手に入れた。恋人の一人や二人はいそうなのに、志帆は未だに恋人がいないらしい。

「早く彼氏の一人や二人連れて来て、さっさと結婚しろって親はうるさいけどね」