「運転お疲れ様!一緒に砂浜歩こう」

綾香が無邪気に笑い、俺の手を引く。さりげなく縮んだ距離が愛しい。

真っ白な砂浜の向こうには、空みたいに青くて綺麗な海が広がっている。こんなに綺麗な海岸なんだけど、神様がご褒美をくれたのか誰もいない。

「なんか、砂浜で二人きりってドキドキしちゃうね」

そう綾香が言うもんだから、余計意識してしまう。顔、赤くなってないかな……。

「ねえ、実(みのる)」

どこか真剣な声で呼ばれ、俺は「な、何?」と緊張を覚えながら口を開く。綾香はまっすぐ俺を見つめた後、目の前に水色のリボンが巻かれた箱を取り出す。ん?これは?

「綾香、これって?」

「プレゼント!ほら、実ってもうすぐ誕生日でしょ?もう渡しておこうと思って……」

好きな人から一番にプレゼントを貰えるなんて、めちゃくちゃ嬉しくて幸せだ。俺は「ありがとう!!」と笑顔を見せ、箱を開ける許可を貰ってから慎重にリボンを解いていく。